公開: 2020年4月22日
更新: 2020年4月22日
楔形文字(くさびがたもじ)は、古代メソポタミア文明で使われていた文字で、水で練(ね)った粘土で作った板の上に、植物の葦(あし)を削って作った「へら」を押し付けて、粘土板の表面に楔(くさび)形の跡(あと)をつけて、粘土板を乾かして固めることで記録しました。
この文字を粘土板に書いた文書の記録は、紀元前3400年頃に書かれたもので、世界最古の文書です。いくつかの異なる文明で、それぞれの文字が使われました。古いものでは、代表的なシュメール文字があります。シュメール文字は、青銅器時代(紀元前2500年頃)に1,000文字ほどが使われていました。楔形文字を使う古代ペルシャ語では、表音文字の楔形文字が使われていたそうです。
シュメール文字の楔形文字は、シュメール語の音節(言葉の音の一かたまり)に対応していました。そのため、楔形文字を他の言葉で使おうとすると、不便なことが多かったようです。このことから、シュメール文字の跡の楔形文字には、表音文字として使われた例も多く、ヒッタイト語や古代ペルシャ語でも使われるようになりました。ヒッタイト語では、一部の楔形文字は、ヒッタイト語の1つの単語に対応する表意文字の行く目を持っている文字もあったようです。